作家Iさんのブログに、「暴君石原都知事がまた快挙」という文章があるのですが、どうにも違和感があり、コメントしたくなりました。
でも、Iさんのブログは、コメントをつける機能を外されているので、ここで書かせていただきます。 まず、石原慎太郎を「つぶせ、落とせ、止めろ」(Iさんのブログより)という声はありますが、全体的には少数です。マスコミも、石原慎太郎を批判する空気は、あまりありません。そのせいかどうか、当選してしまいました。 どちらかというと、Iさんの仰っている「石原暴君」に賛同する人が多いせいだと思います。 JRを叱ったのはよかったと思いますよ。石原慎太郎でもよいことはします。ディーゼルエンジンの排ガス規制はよかったです。パチンコ規制もよいかも。 ただ、石原都政は、そうしたプラスの面を評価しても、それ以上にマイナスが多いと思うのです。 「毒をもって毒を制す」というのは分かります。でも、その石原慎太郎の「毒」が強すぎて有害なのです。 わたしが一番気になるのは、福祉予算の縮小です。「なにが贅沢かといえば、まず福祉」と言って、99年から04年までに661億円もの福祉予算を削ったそうです。 削減の内訳は……シルバーパス(敬老パス)の全面有料化、寝たきり高齢者への老人福祉手当の段階的廃止、障害者医療費助成の対象を縮小、特別養護老人ホームへの補助を4年間で181億円(85%)削減、難病医療費助成の対象から慢性肝炎を除外、盲導犬の飼育代・盲ろう者のための通訳者養成講座の廃止などです。(数字などウィキペディアによる) これで浮かび上がってくるのは、弱者切り捨てです。 お金のない老人に厳しいです。老人は金持ってなきゃいけない……そう思っているに違いないです。さらに、障害者にも厳しい。社会的マイノリティにも厳しい。××思想があるんじゃないかと思うくらいです。「世の中には、俺のような優秀で五○○全な人間しか必要ないんだよ!」と思っているような気がします。 そうやって予算を削って新銀行東京なんて作って失敗し、多額の借財を都に背負わせ、さらにオリンピック誘致なんて、支持されてもいない運動に多額の金をつぎ込んでます。 築地市場を有害な土地に移転させようとしたり、首都機能を移転させないように……まあ、書けば書くほど嫌になるんですが。 青少年有害図書規制(都青少年健全育成条例改正)については、本人が作家なのに、表現規制を簡単に許してしまうのが問題です。 なんであんなに多くの暴言を発しているのに支持されてるんでしょう。 やはりIさんの仰るように「暴君」としての行動にスカッとするんでしょうか。 わけが分からないのは、切り捨てられようとしている老人たちに支持者が多いことです。「カッコいいわ♪」なんておばあさんが声をかけていたのをテレビで見ました。そうした老人たちに、福祉予算削減のことなどを、マスコミが知らしめようとしないせいじゃないでしょうか。 あるいは老人になっても貧しいのは「自己責任」だから、福祉なんかあてにするなって、みんな思っているんでしょうか? そして、やはり日本人には、アジア人差別の心が根強くあって、石原慎太郎の暴言に快哉しているのかもしれません。(そうは思いたくないのですが) これほどマイノリティに厳しく、いや嫌っていることを公言している政治家は、ほかにいませんよね。だから人気があるのでしょうか。本音を代弁してくれるから?(そうは思いたくないのですが) いくら指導力や行動力があっても、それだけで支持してはまずいのではないでしょうか。いや、だからこそ、支持してはいけないのではないでしょうか。 つけ加えておくと、都知事選で、原発推進を主張していたのは、石原慎太郎だけのようです。 最後に石原慎太郎の問題発言集を。 ●女性が生殖能力を失っても生きているってのは無駄で罪です。 ●子供だけじゃなくて、テレビなんかにも同性愛者が平気で出るでしょ。日本は野放図になり過ぎている。 ●大きな出版社までが何を被害妄想かなんか知らんけどね、アニメフェアやったらね『あんなとこ行かない。おれたちは幕張でやる』って言ったらね、震災が来てね両方ともパーになった。ざまあみろってんだよ。 ●犯罪者予備軍の支那、朝鮮人をこれ以上増やすなどあってはなりません。 ●日本人のアイデンティティーは我欲。この津波をうまく利用して我欲を1回洗い落とす必要がある。やっぱり天罰だと思う。(東日本大震災のとき。あとでいちおう謝罪) ●平和憲法は見直しではなく、廃棄すればいい。 ●前頭葉の退化した六十、七十の老人に政治を任せる時代は終わったんじゃないですか。(おっと、これは珍しく正論だ) ●日本は堂々と新しい兵器を作ってどんどん売ったらいい。 ●銅を取って狂喜する、こんな馬鹿な国はないよ。(男子フィギュアで高橋選手が銅メダルを取って) ●不法入国した多くの“三国人”、外国人が凶悪な犯罪を繰り返しており、大きな災害が起きた時には騒擾(そうじょう)すら想定される。 まだまだたくさんあります。ここに並べてあります。 発言を読んでいれば、自ずとどんなかたか分かるというものです。
by ashikawa_junichi
| 2011-05-29 17:36
| 四方山話
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Comments(12)
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anrianan at 2011-05-30 15:04
ちょっとスッキリしました、ありがとう、アシシさん。
カネがあって権力があって苦労していないから、弱者に対して厳しいし、人の痛みも分からないんですよ。こういう人、結構多いと思いますけどね、80前後のジーヤに何言っても脳みそがカチカチになって無理なので、「悪臭まき散らすカメ底の干からびた味噌」と思って無視することにしています。ただ、こういう人が弱者の税金を使って好き勝手なことをするから、・・・・・どうしたらいいんでしょうね。ボケた高齢者がボケた高齢者に一票を投じてしまう。・・・・・70歳以上は選挙権をなくしましょうか。(^_^;)
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ashikawa_junichi at 2011-05-30 16:13
>anriananさん
言わずにおれなかったもので、感謝されるほどのことはないですが、こちらこそありがとうございます♪ 圧倒的に熟年世代の支持を集めているのが不思議なんですよね。 まあ、強力な対抗馬がいなかったせいもあります。民主党がもっとしっかりとしなくてはいけませんでした。 70歳以上こそ、見識のある大人のひとがいるはずなんですが、こと石原に関しては、おかしくなってますよね。困ったものです(-o-;)
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chanbarasky at 2011-05-31 09:36
御説ごもっともです。
反論することなどなにもありません。 というのは、石原慎太郎という人間の品格については僕自身も困ったものだと思っているからです。 それがわかった上で、あえて、ああした記事を書いたわけで、石原慎太郎という人間の個人の資質を問題にしている芦川さんと、そうではなくもっと巨悪な存在に対して戦える存在としての石原慎太郎について書いて小生とでは、考えの立脚点がまったく違うわけですから、議論にもならないのではないかと思いますし、反論する材料などなにもありません。
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chanbarasky at 2011-05-31 09:39
しかし小生の実名が上げられたことには驚いたというか、いささかショックを受けました。
小生などよりずっと影響力の多い芦川さんのブログを読めば、 「え? 池端って石原慎太郎についてなにを書いたんだ?」 と野次馬的にやって来る人間も多いでしょうし、それならまだしも、記事を読みもしないで(探すのが面倒なぐらい更新回数が多いですから(^◇^;)、 「池端ってのは、石原慎太郎シンパのちょっと変わった人間らしいぜ」 と、この狭い業界に噂を流す人間が出て来る可能性が十分にあると思います。 で、そういうゴシップ好きの人間は、勝手に話に尾ひれをつける傾向があると思うので、これはただでさえ仕事の少ない僕にとってはかなりの打撃となり得ます。 「ちょっと変人らしいから、池端って人間は避けた方がいいかもな」 と編集者が考えたとしたら……と想像したら、ちょっとブルーになってしまいました。 お互い自分のブログで自分の意見を自由に書き込み、自分の意見と違う意見については、 「この部分は確かに言えてるな」 とか、 「やっぱり僕はそうは思わないな」 みたいに受け取っていくのがいいんじゃないかと小生は思っています。
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足立区のおじさん
at 2011-05-31 10:38
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編集者は、小説書きなんてものはみんな変人だと思ってますから、多少の事では「あいつは避けとこう」ということにはなりません。それが何より証拠には、アタシなんぞはいろいろやってます(詳細は省きます)けど、なんとか食いつないでおります。
世間は、意外なほど無関心です。
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ashikawa_junichi at 2011-05-31 11:33
>chanbaraskyさん
まず、実名(あるいはペンネーム)を使ってブログをされている以上、意見は公に発表されたものと理解します。 ミクシィで友人限定で書いているのとは、わけが違います。 コメント欄があれば、そこに書きますが、それがないので、ハッキリと自分の意見を書きたいと思えば、自分のブログでするしかありません。 ブログで自分の趣味や(映画や芝居、俳優などの)好みを開陳されているのなら、それに否定的なことを書くのは無粋だと思いますしエチケット違反でしょう。 ですが、政治的な事柄を一方的に書かれてしまえば、それは違うだろうと書いてなぜ悪いのでしょう。実名を出したのは、誰のどの意見に反対意見を書いているのかをハッキリさせねば、こちらが卑怯のような気がしたからです。(つづく)
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ashikawa_junichi at 2011-05-31 11:38
>chanbaraskyさん
(つづき) 立脚点が違うと書かれてますが、これはさっぱり分かりません。ときには強引な暴君的な指導力が必要なのは分かります。その上で、それだけで支持するのはどうかと言っているのです。 人格的な面だけで批判しているのではありませんよ。 また、仕事面での不安をコメントされましたが、それは逆です。 大手マスコミは石原支持ですし、批判しているのは一部のマスコミとネットだけです。でなければ、あれだけ圧倒的に当選するわけがないじゃないですか。 石原氏は芥川賞の選考委員ですし、政治面よりも文壇(形骸化してはいますが)では隠然たる力を持ってます。干される心配は、こちらのほうです。 アクセス数ですが、たいしたことはありません。影響力はありません。 池端さんの記事は、青色の文字をクリックすれば飛べますので、探す手間はいりません。
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ashikawa_junichi at 2011-05-31 11:45
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足立区のおじさん
at 2011-05-31 13:51
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正面切って触れるとヤバいのは、出版社の経営方針とか編集方針への否定的批判でしょうか。それ以外だと、思想信条主義主張の部分はスルーですよね。
で、アタシはこれでも、かなり気を使って、なんどか書き直したりしてるんですよ、あれでも。で、批判する相手をハッキリ書かずに当て擦りみたいなイヤらしい文章になってしまったりもするんですが……。 芦川さんは、普段はオトナの態度でニコニコしているけれど、ここというところで毅然としてもの申す、という姿勢を、見習いたいです。
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ashikawa_junichi at 2011-05-31 14:45
>足立区のおじさん
思想信条主義主張の部分がスルーだと聞いて安心しました。 Oじさんは、歯に衣を着せずに書いてらっしゃると思いましたが、けっこう気をつかわれてるんですね。 過去にほかの作家のコメント欄で、書き込んだ人と言い合い(論争というには相手が幼稚すぎて)になったことがありますが、思い返せば不毛な気がして……もう少し、オトナになろうと思っています(^o^;)
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足立区のおじさん
at 2011-05-31 15:18
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いやあの、「スルー」だと思うのですが。
だって、小説書きは書いたものがナンボなんで、本人の思想信条主義主張まであれこれ言ってる場合じゃないというか、編集者もそこまでヒマじゃないと思うし。ドイツだと、ナチ思想を持っているとアウトですけど、日本ではそんなタブーは……あ、皇室関係がありましたね。 でも、それ以外だと、アカでもアオでも黒でも白でも別に特別問題になりませんよね。書いているものそのものが勝負で。
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ashikawa_junichi at 2011-05-31 16:37
>足立区のおじさん
漫画ゴラクで連載が中止になった『白竜 原子力マフィア編』は、おそらく親会社の広告会社から圧力があったか、顔色をうかがって自粛したのかもしれません。 そうした利害関係に抵触すると、まずいかもしれませんね。 皇室関係といえば、深沢七郎の小説は過激でした。あれくらいやってしまうといろいろ大変かも。 それ以外なら……まあ、個人のプライバシーを侵さないかぎりは大丈夫でしょうか。
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