村野守美先生の思い出

 漫画家の村野守美先生が、お亡くなりになったことを、昨日知りました。
 編集者時代、村野先生の担当をしていたことがあるのですが、始めての週刊誌連載で、毎回遅れに遅れ、大変な思いをしました。
 で、一度、あまりに仕事をしないので、ブチぎれたことがありました。その話に尾ひれがついて「村野守美を殴った編集がいる」と噂になったようです。

 殴ってませんよ。怒鳴って飛び出しただけです。会社を辞める覚悟もしていました。
 村野先生に謝られてはいませんが「そんなに怒るなよ」となだめられた気がします。

 担当をつづけることは精神的に出来なかったので、先輩の以前から村野さんと親しい編集に代わってもらいましたが、連載はすぐに終了したはずです。先輩には悪いことをしました。
 じっくり描く人だったので、週刊誌連載なんて、そもそも無理だったんだと思います。
 ほかの雑誌の仕事も入りますから、ぼくは、自分の会社の原稿だけでなく、ほかの会社の原稿のベタ塗りも手伝ったりしていました。
 ほとんど、村野先生の家にいつづけで、編集部には週一回くらいしか顔を出さなかったものです。なにせ、編集がそばにいないと、なかなか描いてくれないからです。
 そうした漫画家さんがけっこういた時代です。昔の話ですね。

 会社を辞めてから、一度電話をもらいました。仕事の資料整理が大変だから手伝わないかと言われたのですが、しばらく休みたかったので断りました。それが声を聞いた最後となりました。

 基本的には優しい温もりのあるかただったと思います。仕事をちゃんとしてくだされば、この上ないことだったのですが。

 村野先生の作品は、名作ぞろいです。今後も末永く愛読されることでしょう。

 謹んで、ご冥福をお祈りいたします。
by ashikawa_junichi | 2011-03-09 17:41 | 漫画 | Comments(0)
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