小学校時代、友人から「赤面対人恐怖症どもり!」と言われていましたが、よく電信柱にこの文句が書いてあるビラが貼られていたからです。どもりを治す治療院かなにかの宣伝だったのだと思います。いまでは見かけませんね。
わたしは、ドモって言葉が詰まるのは困りましたが、さほど気にしていたわけではありませんでした。ちょっと不自由だなあという程度です。しかも落ち着けば、ちゃんと喋ることが出来るのです。 ところが、心配した父親に、いろんなところに連れていかれました。 いろんなところといっても、2つしか覚えてませんが。 1つは、有名な精神医学かなにかの先生で、催眠術をよくする人のところです。催眠術をかけることによって、自己を解放させるとかなんとか言っていたような気がします。この先生は、子どもと拳銃ごっこなどして遊ぶ療法もしていました。 で、わたしが催眠術にかかったかというと、全然かかりません。先生に悪いから少しかかったふりをしたりして……。これは見破られたのか、つぎの回は拳銃ごっこをしようと誘われましたが、バカらしくて出来ず、転がっていた本を読んでいたら、先生も本を読み始めて、それで一回の診療時間が終わった記憶があります。ですから、都合2回ほどしか通ってないような気がします。 少し経ったころ、この先生がテレビに出て、何人もの人に催眠術をかけていました。あっという間に、数人に催眠術をかけているので驚きました。なんで、みんなこんなに催眠術にかかるのかと。ヤラセでなかったら、暗示にかかる人とかからない人の差がずいぶんあるってことでしょうか。 もう1つは、どもりの矯正教室というようなところです。何十人もの人が集まっていました。その中に放り込まれたわけですが、ひとりずつ朗読をさせられて、みんな言葉が出ずに、苦労していました。わたしは、落ち着けばまったくドモらないので、なんだか悪い気がして、わざと2~3回ドモったりしましたよ。この教室は、先生が問題ないよということで1回きり。親が心配するようなレベルではなかったってことです。 その後、ドモリはさらによくなりました。 学校の演芸会には必ず出ていたし、中学では体育会長などで壇上に立って話をしたり、生徒会役員選挙の応援演説もしてました。つまり、そうしたところでは、まったくドモらないのです。いまでもドモるのは、酒席などで話が盛り上がり、勢いこんで話そうとするときに、言葉が詰まってしまうのです。速く喋ろうというのがいけないみたいです。 というわけで、深刻な吃音症に悩んでいらっしゃる方々には申し訳ないような、比較的軽い症状だったのです。 (補遺) 高校時代の友人に、かなりのドモリの人がいますが、いまでも変わりません。でも、本人はいたって明るく、ドモりながらもよく喋ります。こちらも彼と話すときは、言葉が出てくるまで待つのが当たり前になって、決してイラついたりはしません。
by ashikawa_junichi
| 2011-12-09 13:10
| 四方山話
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