あらま、11月もあと一週間ないのか!
余裕こいていたら、あとがない! また追い詰められている! 締め切りがすぐそこだ! なんだかなあ……学生時代の試験前と、まったく変わらない。コツコツと勉強している学生は現役で志望校に合格するもんだけど、私なんぞは浪人せねば無理でした。 当時、五木寛之、野坂昭如、立原正秋など、私の好きな作家は、みんな早稲田の文学部で中退でした。(前の二人は授業料未納で除籍。後に名誉卒業だったかな) ミーハーな私は、なにがなんでも早稲田に入りたかったのだけど、高校三年の模擬試験では、どこの学部も合格率15~30%でした。もう受験前から、浪人確定でしたよ。三年間、まったく勉強していなかったからです。 結果は、当然不合格。 浪人を許してくれた両親に感謝です。ありがたいことでした。 早稲田に入りたかったのは、もう二つほど理由があります。小学校時代の塾の教師が早稲田出身で、生徒たちに早稲田の校歌を歌わせていたんです。それで親近感が生れてしまったこともあります。 それと、北杜夫の『どくとるマンボウ青春期』などを読んでバンカラに憧れたこと。バンカラといえば、東京では早稲田でしょう。 浪人を許してくれたけど、父親は政経学部にいけの一点張り。私は文学部志望だったのだけど、まあ政経に入るのは格好いいなと思いました。でも落ちれば、文学部へいってもよい雰囲気。親父もいい加減ですな。ほかの学部なら、どうでもよいという態度。 早稲田予備校で一年間勉強したのですが、講師は面白い人が多かったです。のちに武蔵野女子大学の学長になる大河内昭爾先生などが、受験と関係ない文学の話を沢山してくれて、楽しかったなあ……。 予備校の模試では、政経(経済科)も第一文学部も合格率90%でした。だから、この二つの学部を受ければいいやと思っていたのですが、予備校の仲間たちは、ほとんどの学部を受けるというので、私ももうひとつくらい受けようかと思案し、日程で無理のない(という理由だったかどうか覚えてませんが)商学部も受けておくことにしました。 さて。結果です。最初に発表のあった政経は不合格。親父はガッカリしてました。ショックを受けたようです。「俺の息子が私大である早稲田の政経ごときに落ちるとは」という落胆ぶりに、申し訳ない気がしたものです。 親父は国立出なので、私立を莫迦にしているところがありました。 でも、これで大手を振って文学部へいけると内心嬉しかったのです。(親不孝ですね) 問い合わせれば、何点とれたのか分かる制度があったので、すぐに申し込んでおきました。後日送付された書類を見たら、合格最低点に3点およびませんでした。残念ですが、この3点の中に、たしか100人ほどいたような……。それほど合格ライン上には、沢山の受験者がひしめいていたわけです。 商学部の発表がつぎにあって、これは合格していました。 その翌日、第一文学部の発表です。うきうきした気分で見に行ったところ……なんと不合格! いやあ、物凄くショックでしたよ。なぜ?なぜ?……と、頭はパニック状態。 文学部も採点を教えてくれる制度があったはずなんですが、あまりのショックで申し込むのを忘れました。 あとで考えると、英語が難しくて得点が低く、足切りにひっかかったんじゃなかろうかと思います。ほかの科目はよく出来たはずなので。(足切りとは、ひとつの科目の最低ラインがあって、それ以下だと、ほかの科目の結果に関わらず不合格になってしまう制度です) 予備校の友人たちも、沢山受けたにも関わらず、ひとつの学部しか受からない人ばかりでした。友人のひとりは、ほかは全部落ちたのに政経だけ受かったのです。 それほど、実力は拮抗していて、運も左右していたんだと思います。 さて、どうするか……あと一年浪人する気力はありませんでした。 悄然としたまま商学部へ。 ただ、商学部の同級生たちが楽しい奴らばかりだったのは不幸中の幸いでした。しかも、女子の多い文学部と違って、男子ばかりだから、女子大との合コンをたくさん出来たのです。 二年間、楽しかったですよ。 ただ、当時は三年から専門課程で(いまは二年からでしたか。制度が変わったはず)経済や経営の勉強ばかりになってしまいます。二年までは教養課程で、いろんな授業があったのですが。 当時、第一文学部は三年に上がる時点で試験を受けて合格すれば、転部出来る制度がありました。それは、夜間に授業がある第二文学部から転部したい人のための制度のようでしたが、他学部からも受けることが出来たのです。 この転部試験に飛び付きました。 1974年のことで、いまほどではないにしても、不況でした。同級生には呆れられ、手続きの書類を取りにいったときなど、職員に変わり者だといわれてしまいました。 就職率が商学部は100%(政経は90%)なのに、第一文学部は45%くらいでしたから。 さらに、文学をやりたいけど、そんなものは自分で出来るから、端から文学部は受けずに、商学部に入ったという同級生もいました。 なるほどとも思いましたが、私には、商学を勉強しようというほどのタフさはなかったのです。面倒ですもんね。 手がける分野の広い小説家になるには、いろんなものをかじっていたほうがよかった気もします。経済小説や、社会的な小説を書くにはね。……まあ、そうした作家になる器ではなかったということでしょうか。 転部試験のとき、面接があって、 「文学部に来たら就職できないよ」といわれて、 「私は就職のために大学に入ったわけではなく、勉強がしたくて入ったのです。当初は商学にも興味がありましたが(これはまったくの嘘)いまはやはり文学を勉強したいのです」 などと応え、これは面接官の心証をよくしたのではないかと思っています。 そのおかげか、試験科目に英語でなく(当時は得意だった)フランス語を選んだおかげか、転部試験に合格しました。天にも昇るほど、嬉しかったです♪ いや、大袈裟ではなく。 気がついたら、ずいぶんと長く書いてしまいました。息子がそろそろ入試に供えねばと思っていたことも心にあって影響されてますね(^o^;) そうだ、こんなことを書く暇があったら、仕事をしなくちゃ! (追記) 〇立原正秋は「私は慶應のほうが合っている」と書いてました。 〇第一文学部に入ったら、文学部で知り合ったひとりに莫迦にされ毛嫌いされました。 「お前なんか、文学をやりたくて大学にはいったんじゃないじゃないか。しかも商学部なんてマークシート方式のテストだろ」ということで。 転部までして、就職率の低い文学部にきたことは無視です。 「転部試験も難しいのよ」 とフォローしてくれたのは、同級生の女子はるひさん。はるひさん、どうしてるかな。小柄で素敵な美人でした。 〇私は、商学部始まって以来という転部でしたが、実は偶然にもうひとりいたのです。彼は美術史の専攻で、地元に帰って県の文化事業に専念しています。
by ashikawa_junichi
| 2012-11-25 16:59
| 小説・本・仕事
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Comments(4)
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受験の思い出は、今もアリアリと蘇りますよね。
僕は大学を受け直して、日芸に入り直したのですが、予行演習のつもりで「放送学科」を受けて、これは普通に合格しましたが、本命は「映画学科」でした。しかし、マークシートを塗り間違えて、国語の出来が壊滅的だったのだと思いますが、試験場から帰る電車の中で脂汗がだくだくと出ました。結果は不合格。 しかし、翌日に大学から補欠合格の通知があって。余計に金がかかるのなら諦めようと思いつつ電話で問い合わせたら、お金は要らないとのことで、入学手続きをしました。 その後、放送学科の方が志願者も多くて難易度も高くて、放送に落ちて仕方なく映画学科に来た数人に、「どうしてせっかく合格したのに放送に入らなかったんだ!」と詰問された思い出が。 ま、日芸の話ですから、目くそ鼻くその世界ですが。
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商学部と文学部では、漂っている空気が違う。
芦川さんの素敵な学生時代の思い出を、清々しい気持ちで拝読しました。文学だけではない、青春の日々があったわけですね。そういう幅広さが、作品の中にも表れていると感じました。
>足立区のおじさん
映画が斜陽で、テレビの勢いがあった時代ですから、放送学科のほうが人気があったのでしょう。 でも映画がお好きなんだから、その選択で間違いはなかったのですよね。 いまはどうなんでしょうか? 放送も前ほどは人気がないと思いますので。
>t.chinoさん
商学部はとにかく遊び人が多かったです(^o^;) 会社の跡継ぎも何人かいて、裕福そうでした。 商学部での日々が作品に果たして反映されているのかどうか、自分では分かりませんが、千野さんに仰っていただけると嬉しいです♪
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