『騎馬民族』『桃色館』という劇団が早稲田にあった

 東京新聞の『私の東京物語』は、いま歌手のクミコさんが書いていて、今日で連載10回の3回目ですが、おやおや、クミコさんは大学で同期だったんだと分かりました。歳はおそらく一つ下。ぼくは浪人しているけれど、彼女は現役で入学したらしいのです。
 クミコ(以下敬称略)は、「森は生きている」みたいな芝居をやりたくて学内の劇団を探したのですが、そのころはアングラ演劇全盛の時代。それでも、大隈講堂裏の劇団『こだま』に入ったそうです。

 実は、入学したころ、ぼくは芝居をやるかやるまいか迷っていました。高校時代に状況劇場の芝居に魅せられて、あんな芝居がしてみたいという強い願望があったのですが、一年間の浪人生活があったので、いくぶん熱がおさまっていました。
 入学してすぐに親しくなった友人も芝居好きで、いろんな劇団の芝居を観てまわっていたのですが、その友人はすぐに『騎馬民族』という劇団に入ってしまいました。ぼくは『桃色館』という劇団に興味があったのですが、規模が圧倒的に小さいのです。でも、入るなら『桃色館』がいいなあと思いつつ、もし入ってしまったら蛸壺の中にはいってしまうようで、ほかのことができなくなりそうな予感がありました。看板女優が半陰陽という女性で、その彼氏が主催者のようでした。そのほか、4、5人しかいなかったような。
 けっきょく、『桃色館』にも、ほかの劇団にも入りませんでしたが、友人は『騎馬民族』に入ったおかげで、授業には出なくなっていました。『桃色館』より規模の大きな『騎馬民族』でも、蛸壺状態のようで……というか、どの劇団に入ったとしても、生活全部が劇団活動になってしまって、授業に出る暇なんてなくなってしまうのです。とういわけで、友人は留年して……そのあとどうなったかわかりません。

 一級上に現在は売れっ子官能作家であるKさんがいたそうなのですが、Kさんは演劇研究会というようなところに入っていて、やはり劇団活動が忙しくて、けっきょく卒業できなかったそうです。ただ、そのころかそのあとかわかりませんが、寺山修司の演出助手をしていたそうですから、本格的ですね。

 さて、クミコはどうなったのでしょう? 明日からの『私の東京物語』が楽しみです。

 劇団に入るのをやめたぼくは、ほかのサークルを探しました。そのことについては、また。

 ところで、いま、月蝕歌劇団が公演しています。『阿呆船』が明日31日まで。『ガロア論序説-不思議の國のアリス』は6月2日から4日まで。ぼくは、両方ともいきたかったのですが、都合がつかず『不思議の國のアリス』だけになってしまいそうです。残念。
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by ashikawa_junichi | 2018-05-30 18:36 | 映画・演劇 | Comments(0)
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