夏目漱石といえば、小学校のころに『吾輩は猫である』を読んで、その面白さに夢中になったのだが、それ以外の作品は、けっこう読んではいるけれど、なるほど、これが漱石の文学かというくらいで、猫ほどの感興をもよおすことはなかった。猫に描かれた鋭い人間観察や風刺、諧謔などは、もちろん小学生のぼくには分からなかったが、なんともユーモアのある文章と明治の文人の戯画化された生活がすこぶる面白かったのである。以来、これまでに4~5回は読み返している。
そして、未読の大作(人によっては漱石の代表作という)『明暗』だが、いまになるまで読んでこなかった。それが、正月にダー松さんに「面白いですよ」といわれ、先日つい読み始めたら、これが面白い。読み終えて、話の先が知りたくなった。 だが、先はない。漱石が執筆途中で亡くなり、未完だからだ。先を知りたくても、漱石が書いてないのだから先はない。勝手に想像するほかはないのだ。 しかし、なんと、その先を書いた人がいる。だいぶ以前(1990年)に水村美苗という人が『続明暗』を書いたということは知っていた。当時は、凄いことをする人だなあと思ったものだ。評価は割れていたような……。 まあ、それはいいとして、水村美苗がどんな『明暗』の先を書いて結末まで持っていったのか知りたくなった。 筑摩文庫で手に入ることを知り、早速注文。届いて読み始め、なるほど違和感のない文章だなと思いつつ、途中から加速度的に面白くなり、さきほど読み終えた。いやはや、じつに面白かった。
by ashikawa_junichi
| 2020-09-22 22:49
| 小説・本・仕事
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