以前に『神州纐纈城』を読んでから、何年か経ち、ここにきて国枝史郎の伝奇長編代表作3作の残り『八ヶ嶽の魔神』『蔦葛木曽棧』をつづけて読破しました。荒唐無稽、波瀾万丈、面妖至極、高速展開……もっと読みたいと癖になる読書体験です。半村良が、こうした伝奇長編は連載という形でなければ成り立たないとエッセイに書いていましたが、その通りですね。とくに最初に執筆した『蔦葛木曽棧』なんぞ、作者自身、(登場人物が多すぎて)書いていて誰がどうなっているのか分からなくなってきたというほどですからね。作者が疲れたので未完。(あとで少しだけ付け足して無理矢理終わらせた完結版が出ますが)読んでいるほうは疲れてないので、ちゃんとしたつづきを読みたいものですが。
解説は末國義己さん。ヨイショするわけではありませんが、これが素晴らしい。これだけで国枝史郎のことが、ほぼ分かります! さらに、未完作品が多いということについて「中盤で物語が中絶した場合、<ありきたりの結末>に落ち着くという約束自体が守られる保証がなくなるわけで、まったく予想のつかないラストがまっているかもしれない、という期待の地平に読者を置き去りにすることが可能になる。さまざまな可能性を残しつつ、読者の想像力にすべてをゆだねることで、物語のダイナミズムを持続したままであり続けることができる。考えようによっては、真の伝奇小説は、未完の中にしか存在しないといっても、言葉が過ぎるということはないだろう。」と書いています。なるほど! 読物雑誌が売れていた時代はよいですが、いまは無理でしょうねえ……。いや、文庫でつづけるという方法もありますね。売れ行きがよくなければすぐに打ち切りですが。
by ashikawa_junichi
| 2020-11-03 22:16
| 小説・本・仕事
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