親父と『オール読物』と『週刊新潮』

 ふと思い立って、積ん読状態だった30年ほど前に買った『オール読物12月増刊号 昭和の時代小説50篇』の拾い読みを始めました。これはなかなか読みごたえがあります。もっと早く読めばよかった。
『オール読物』は、親父が毎月買っていた小説誌です。単行本もたまに買っていたようですが、もっぱら『オール読物』で小説を読んでいました。昔は、そうした大人が多かったのかも。小説雑誌が、いまとは比べものにならないほど売れていた時代です。『オール読物』は居間に置いてあるというか、放っておかれていたので、たまに興味を惹かれる小説があると、ぼくも読みました。
 親父の愛読誌はもうひとつ。やはり居間に転がっていた『週刊新潮』です。柴田錬三郎の『眠狂四郎』が連載されていて、ぼくが大学時代にたまたま読んだ回が物凄く印象に残っています。狂四郎が股を広げた女性の○○に刀の鞘を放りいれ、そこに抜き身の刀を投げてすっぽりと納める場面です。そこだけ読んだのですから、いったいなんだこの小説は!?と呆れたのを覚えています。しかし、ずいぶんあとになって狂四郎シリーズを読破したときに、なるほどここだったのか、そこだけ読むと馬鹿馬鹿しいけど、流れのなかだと面白い趣向です。さすが柴錬!
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by ashikawa_junichi | 2021-04-20 23:56 | 小説・本・仕事 | Comments(0)
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