新宿梁山泊『少女仮面』を観た!

 25日の夜、中野区の「芝居砦・満天星」で新宿梁山泊李麗仙特別追悼公演『少女仮面』を観てきました。
 唐十郎作の『少女仮面』は1969年に早稲田小劇場のために書かれ、そののち状況劇場で上演され、何度もいろいろな劇団が手がけた岸田國士戯曲賞受賞の傑作。そして、李麗仙さんの数々の当たり役の中のひとつです。
 わたしは、高校生のころ1970年に状況劇場のテント公演を観ました。その後は観る機会を得ず、51年ぶりにまた『少女仮面』を観劇した次第。しかも、二度とも最前列、かぶりつきで観るという幸運に恵まれました。
 李麗仙の演じた春日野八千代は水嶋カンナさん、少女・貝は紅日毬子さんが演じています。水嶋さんは往年の宝塚スターの雰囲気をよく醸しだし、また李麗仙を彷彿とさせる熱演。紅日さんはまるで動く西洋人形のような少女で実に蠱惑的でした。劇中劇のような『嵐が丘』を演じるくだりは圧巻です。
 この二人だけでなく、演じた役者さんたちはみんな達者でした。戦中と戦後の空間が入り交じり、幻想的で哀切な物語が小気味よく展開し、楽しめました。
 そして、状況劇場初演時には甘糟大尉を演じていた大久保鷹さんが水道飲みの男で登場。台詞ひとこと目に、いや階段を降りて登場してきた瞬間に「ああ、大久保鷹だ」という強烈な個性。そして、アドリブを交えているようないないようなとぼけた台詞まわし。とても懐かしかったです。
 1970年当時、唐十郎さん、麿赤兒さん、四谷シモンさん、大久保さんなど、アドリブがけっこうあったし(いや、ないのかも。台詞つっかえただけかも)そのため台詞途中で笑ってしまったりといった、ちょっと弛緩した自由な雰囲気が楽しかったです。
 今回はもっとタイトで、隙のない劇空間。2度ともに、なんとも楽しい観劇時間でした。

 劇場にはカフェがあって、そこでは李麗仙の写真展が開催中です。宇野亜喜良氏の絵も観られました。
 李麗仙が春日野八千代を演じた『少女仮面』の映像も上映しています。
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 新宿梁山泊の入口。地下2階ですが、舞台奥が吹き抜けになっていて外から役者が登場、そこが避難口にもなるという構造。建物が斜面に建っているからだとか。
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by ashikawa_junichi | 2021-12-26 23:52 | 映画・演劇 | Comments(0)
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